第32話 大雑誌・大新聞の記事と広告
うさぎ、トゥラルパン、きららは広告の本当の力について話しています。
大雑誌、大新聞は、収入の大きな割合を占める広告の出稿主に気に入られるための記事を書く。
出稿主の気分がよくなる形に、読者の気持ちをつくっていく。
そうして読者は購買の意欲をかきたてられ、また、時には戦争を受容する気持ちを持たされていく……。
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かつて、小沢健二さんがエッセイを連載する「オリーブ」という雑誌がありました。
ファッション記事だけでなくカルチャー記事にも力を入れた誌面は多くの女の子たちの共感を呼び、その当時「オリーブ少女」なる層をつくりだしました。(今や彼女らは「オリーブおばさん」と呼ばれていたりします……。)
ファン層を固めたかに思えたあるとき、廃刊へ。一度復刊するものの、結局「オリーブ」は存続しませんでした。
あの廃刊で自分の個性までもが否定されたような気持ちになったものです。
読んでいた人が急に減った?そうではない。今回の「うさぎ!」を読むとそのあたりのからくりにも思いが至るのでした。
確かに「オリーブ」には有名ブランドの広告は、入らない。
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マスメディアが切り込まない(切り込めない)話題に、「うさぎ!」はやすやすとリーチしていきます。
それは、著者がその枠外にいるから。
枠外に出ること。著者が、あのとき日本のポップミュージック界から去ったのは、そのためとも言えるのかもしれません。
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著者のファン層には、言葉を職業とする人が多いと聞きます。出版、マスコミ、ウェブ。それから、教職についた人も。
著者がたびたび広告をテーマに論じてきたのは、そのせいもあるのかもしれないな、と思う。
自由に振る舞っている、と思っている(思わされている)、我ら。そして、そうした職業の人たちは、比較的強い意見の力を持っているという点。
「うさぎ!」を読むと、毎回世界がひっくりかえる。
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「新しい服を買わなくちゃ」と思っている私たち。
「戦争もしかたないよな」と思っている私たち。
本当にそう思っているんだろうか。思わされているだけなんじゃないのか?
✦『うさぎ!第32話』掲載の『子どもと昔話56号』
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