第5話/水
トゥラルパンは銅山の国の平和市へ向かうバスに乗っています。
水の研究資料について、きららとうさぎと三人で話し合ったときのことを、
思い出しています。
強力な薬、最新技術を駆使した化粧品が水に流れ込み、生態系を狂わせているという研究結果
すべてのものごとはつながっている
幸せになるなら、みんなで幸せになるしか、方法はない
逃げ場所はない
「恐怖をあおって言うことを聞かせるやり方」を疑え
バスでトゥラルパンは、尾長鳥の国から平和市に戻る山あらしと知り合います。
そして、それからしばらくして、平和市にうさぎときららがやってきました。
二人は歓声を上げます。
商店街はトゥラルパンたちの手によって、見たこともない様子に変えられていたのでした。
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第5話は特に女性、またはお化粧を日常的にされる方に、読んでみてほしい内容です。
私は日常的に化粧をします。化粧品を見たり、化粧品についての記事を読むのもすきです。
毎季、色とりどりの広告とともに、新製品が次から次へと発売されていきます。機械と一緒。しかも化粧品や薬は直接に水と触れ合って存在しています。
すてきなイメージが波のようにざぶざぶと押し寄せてくる。私たち女性はそれにさらされ、欠点を指摘され、後ろめたさを植えつけられています。
最近はそれに対抗して「ナチュラルコスメ」という逃げ場がつくられていますね。
ケミカルからノンケミカルへ。合成物質を敵とし、自然のものからつくられることを重視する。
そういう新しい市場ができています。
まだそれほど選択肢も少なく、価格が高く、本当の「ナチュラル」なものと偽の「ナチュラル」が混在する「ナチュラルコスメ」分野ですが、これからそうした好みを持つ人は増えていくのかなと思います。
ちなみに私は『うさぎ!』以前からそのナチュラルコスメのほうへ意識が向いていたのですが、第5話を読んで、それがもし合成から逃げるためであるなら無意味なんだな、と思うようになりました。
よくよく考えて、逃げるためという理由のほかに、使っていていろんな意味で心地いいということに気づき、それなら少しは意味がある、と思い直しているところです。
あと、「女は若くなきゃダメ」について。
その通り、日本の化粧品業界の広告では「実年齢より10歳若く」とか「この化粧品を使ったこの女性、実は50歳」とか、年齢についての記述、多いですね。「マイナス5歳肌」とか、「肌年齢」とか。
実年齢より若い肌年齢だと、何がすてきなんでしょうね。
この「若く見られるとうれしい」は加齢そのものまで否定しているように聞こえて、違和感があります。この違和感も『うさぎ!』を読んで強まった感覚のひとつです。
さて、「水をめぐる戦い」について。
『うさぎ!』前の私にとってはその言葉は実感のないものでした。
水?水をめぐって戦う?水なんて勝ち取るようなものじゃない、そう思っていたのでした。
私の住む場所では、当たり前のように蛇口をひねれば出てくる水。それを灰色が狙っているなんて思いもしなかった。
平和を植えつけられてるから?新聞に書かれていないから?
このお話の最後の場面がとてもすてきです。なのでぜひ読んでみてくださいね。
ふっくらと、澄みわたった、きりっとした、景色。
恐怖やあざむきに気づいていたいと思う。自由な考えを持っていたいと、強く思う。
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