第22話/もう古いの計画


主な話者:きらら

「うさぎ! 沼の原篇」が出てから「うさぎ!」についてよく質問を受けるきらら、よく聞かれる「もう古いの計画」について語ります。


「もう古いの計画」、プランドオブソレッセンスは大っぴらに言われないが、当たり前の考え方
買ったものをすぐに古いと感じさせ、次の新商品に向かわせる
「もう古いの計画」が引き起こしていること


その存在が見えなければ、ぼやけて考えが始まることができない。



時限装置が組み込まれている、と日本語では言う。

「○○タイマー」(○○には大手電子機器メーカーの名前が入る)と言って、決まった年月が来ると壊れるように仕組まれていると言う話。

笑い話で出てくる。「パソコンの調子が悪い」「タイマーが起動したんじゃないの?」「まさかー」という感じ。

そういう言葉が生じるほど、「もう古いの」計画は企業にとっても消費者にとっても当たり前のことなのだろう。


『うさぎ!』を読んでから、「従来品より消費電力を○%削減!」などの広告を見ると、「なんで開発段階からやらなかったんですか」と思うときがある。

でも読まなかったら気づいていなかったと思う。「○%削減かあ」としか思わなかったと思う。


小出しにする、壊れやすくする、使えなくする。

うさぎくんが話していた革靴のことを思い出す。使い捨てることがベースに置かれた生産。

子ども服なんかもそうで、ウエストのゴムを取り替えようとするとウエストのゴムごと縫いつけられていて取り替えられないとか、ゴムの替え口がないとか。

直すより買ったほうが安いし早いという状況。



確かに服に関して、私も以前はそう思っていた。子どもができるまでは。

子どもができたら、自分の服を選ぶ時間がなくなった。女の人は服を選ぶのにものすごく時間がかかる。子どもはその長い時間につきあえない。

だからネットで服を選ぶようになったんだけど、これまたすごく時間がかかる。サイズはどうか、色はどうか、在庫はあるか、お値段は、割り引きは…と延々時間がかかる。

フリルがついているといくら、レースがついているといくら、すきなブランドのものだといくら…と、オプションがずらっと並ぶ。選べない。

今や作ったほうが早いと思うようになった。自分で縫ったほうが早いし、ほしい形にできあがる。まあ失敗はするけど、腕は上がる。


使い捨て。この言葉、大きい言葉だと思う。

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