第21話/メキシコ
主な話者:うさぎ
友だちの結婚式に参列するため、うさぎたちはメキシコのハラパ市に来ていました。
基地帝国と相互に作用し合う国、未来世紀メキシコ。
車椅子の人がすいすいと働く空港
社会権を認めた初めての憲法、メキシコの1917憲法
社会、政治、文化への高い意識
暴力と共存し、生き抜くために知性を必要とする場所。
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第21話は、作品集「我ら、時」の中に綴じられた『うさぎ! 二〇一〇―二〇一一』という本の一番初めに出てくるお話です。
沼の原篇が幕を閉じ、新しく出発した回にも当たります。
メキシコに焦点が当てられ、とても読みやすい回。
私は『うさぎ!』の第1話をネットで読んでいて、その次に出会ったのがこの第21話でした。
話者がうさぎくんとつづられているにも関わらず、その第一人称「僕」を著者のことと取り違えて読み進めていました。
さて、メキシコ。
基地帝国の隣で力強く生き抜く国。知りませんでした。
銅山の国もそうですが、刀を突きつけられた国は賢くならざるをえないんですね。
じゃあどうして、体内に爆弾を仕込まれている絵本の国はそうならないのだろう?
危険を感じないように酔わされている。人びとが気づかないよう、周到に環境が用意されている。
基地の移転やオスプレイ配備といった木における木の葉の話題は新聞に上るのだけど、肝心な幹の部分や根の部分には焦点が当てられないように思う。
インディアン文化のきらめきが日常のそこかしこできらめく国。
そこで開かれた結婚式の光景が、まぶしい。友人代表が新郎新婦に贈った詩が美しいです。
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