和風というカテゴリ

「古きよき日本の」といった意味合いで、「和風」という言葉が日本では使われます。

お着物の布のような、日本古来の柄や模様。食べ物で言えば、あずきやお抹茶。

アメリカで言う「native americanな」という言葉とちょっと似ているかな。

日本古来のものを「和風」というカテゴリに押し込んで、外側から冷たく眺めようとしているように思えてきたのです、『うさぎ!』を読んでから。

「日本っぽさって、いいよね。でも、もう戻れないよね。今の私たち日本人には絶対に必要なものではないよね」
というささやき。

茶道や書道、日本的な文化は「習い事」の列に押しやられているようにも思えてきたり。「習い事」として生きながらえているだけでも、もうけものなのかな。

ところで。
著者と近しい、著名な日本人作家であるよしもとばななさんは下町の出身であります。玄関には鍵などかけず、近所同士でゆたゆたと交流し合う環境。その、割と最近な「昔の日本」の空気の中で育ったお方なのですが、そのころのよさはもう日本で絶滅しかけていると感じられるそうです。

悪いところもあったけれどよいところもふんだんにあった「昔の日本」は、いまやからからになって枯れ果てる途上。

結果、「和風」なんて一見すてきそうに見えるけれど乾いた言葉の中に押し込められて、形だけ残ってるのみ。

ほんとうにそれでいいのかな?

私たち、残すべきものをなかったことにしようとしてないだろうか?

こぎれいなショッピングモールに並ぶ「和風ショップ」(主に海外の方のおみやげや、「和風」を好む一部の方のためのお店)を眺めながら、うさぎくんに背中をちょんとつつかれて、そんなことを思うのでした。

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