小説というより手紙として
『うさぎ!』という物語を小説や童話のような分類に当てはめようとするとき、首をひねることになる。
小説というよりは論文、童話というよりは寓話。書簡体小説に少し近い?
著者はファンの一人として見て、作品にとても凝る人だと思う。彼のつくる歌もコンサートもCDなどの作品も精密につくり込まれていると思う。
そういう人が『うさぎ!』を書こうとし、連載を重ねるうち書簡のような論文のような形に落ち着いていったのは、たぶん仕上がりの早さを重要視したのだと思う。
今、伝えなくては、と急いでいた(急いでいる)。
それも、主に、彼と何らかの縁のある、日本人に対して。
そこにある緊急の信号を見てとったとき、このお話の存在感はもっと増してくる。
今私たちが受け取るべき、緊急の信号。
それが今の私たち読者の生活にじかに影響を与えてくる。
著者はその覚悟を確かに固めている。
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